尾道に住む平山周吉70歳(笠 智衆)と、とみ67歳(東山千栄子)が、東京で暮らす子供たちの所へ旅をする話です。医者の長男、美容院を経営する長女、戦死した次男のお嫁さん。しかし子供たちはそれぞれの生活、仕事を持っており、なかなか老夫婦の面倒を見ることができません。唯一東京見物につきあってくれたのは血のつながりのない戦死した次男昌二の未亡人紀子(原節子)でした。それでも二人は元気で働いていている子供たちを見て安心して東京を去ります。しかし とみが帰りの列車の中で体調を崩し尾道に帰ってから死去します。子供たちは”母危篤”の電報で尾道に呼び戻されます。葬式の後、子供たちはそれぞれの仕事に戻っていきます。
今から60年前の映画ですが、現代に置き換えても変わらない家族を描いています。主役は老夫婦と原節子だと思うが、長女の杉村春子が都会的なリズムで、親と子、田舎と都会を際立たせ、見るもの聞く者の立ち位置を感じながら物語を面白く、楽しませるのだろう。名作とは、それを見る自分の立ち位置を感じ、それによって新たな発見をすることができるものなのだと思います。繰り返し見ることで、感慨を新たにするのだろうと。
峰明さんは、ピアノとピアニカで情景を実にうまく表現していました。凛とした貴惠さんの佇まいもいいです。
着物での公演ということで、私も川越唐桟を着ましたぞ。
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